◆作家紹介◇渡辺好明 WATANABE Yoshiaki初期は石膏と淡彩を使った作品を制作していた。石膏でできた円形の薄い板の上に細かい点を螺旋状に打ってゆき、最後の点の位置にまた円盤が継ぎ足される。こうして点と円盤が延々と増殖していくわけである。ドイツ留学後、蝋燭を使った作品の発表を開始する。蝋燭をたくさん並べ、それらに火を連鎖的に燃え移らせていく作品であった。近年は、巨大な蝋の球体の中央に火を一点だけ灯す作品を発表した。炎という象徴的な現象を通してエネルギーが循環してゆく様は、観る者にさまざまな想念を抱かせる。 ◇中瀬康志 NAKASE Koji長く金属の器を使った作品を制作していた。小さな器を床や壁にたくさん並べたり、巨大な器を会場に一点だけ置くこともあった。下向きに置かれた大きな器に、たくさんの窓が取り付けられることもあった。下向きの器は人間の頭部のようにも見えた。一方で野外での制作も積極的に行っている。板で筒状の建造物を作り、観客はその中に入れるようになっている。見方によっては、これも一種の器と言うことができる。迷路のような暗い通路を抜けると、天井の開けた明るい中央部に出る。観客は、その空間を通過しながらさまざまな心理的変化を体験するのである。◇エサシトモコ ESASHI Tomoko初め木と漆を使い、人物像を中心とした彫刻作品を制作していた。自らの出産を契機に命の誕生をテーマとした作品が登場し、その後はさまざまな動植物が愛情の込もった手作業で形づくられるようになる。近年は素材が多様化し、梅ぼしの種や松ぼっくりといった自然素材をそのまま用いてそこに秘められた命を賛美したり、延々と続く生命の連鎖を象徴的に示すインスタレーション作品も手掛けている本年1月19日(木)〜2月11日(土)トルコ・イスタンブールにて「ワンダリング・ウィンド-日本現代美術の3人」展が開かれました。2004年、ヨコハマポートサイドギャラリーで開催したトルコの現代美術作家の展覧会“More Wind!” に続き「風」をテーマとして日本現代美術の一断面として 渡辺好明、中瀬康志、エサシトモコを イスタンブールのレンガ造りで趣きある空間を持つGallery Apelにて紹介いたしました。その報告展を開催いたします。これまでの現代美術を通したトルコとの交流をより促進するとともに東京の異なる空間の中でみせる作品の呼応をお楽しみ頂ければと存じます。「ワンダリング・ウィンド−日本現代美術の3人」展は、トルコで最も近代的な都市であるイスタンブールにおいて、日本人のキュレーターによって日本の現代美術を紹介する初めての展覧会となりました。 本展は、日本とトルコの文化交流の上で重要な足跡を記したこの「ワンダリング・ウィンド−日本現代美術の3人」展の成果をご報告するものです。この催しをご覧になった方々が、未知の国トルコへの興味を深め、日本とトルコの文化交流の推進に加わっていただけたら幸いです。

展示期間 2006年04月19日(水) - 2006年05月07日(日)
展示場所 GALLERY