2020.12.03 - 2021.02.28

進藤詩子

[日本]

プロフィール:
1980年東京生まれ。美術家。研究と制作を両輪とした芸術実践を国内外で展開している。近年の活動では、光と闇の間でさまざまに「うつ(移、写、映、撮)り」、濃淡や線にあらわれる「影」に着目している。
2005年ヴィクトリアン・カレッジ・オブ・ジ・アーツ芸術学科ドローイング専攻卒業。2008年同校芸術修士課程修了。以降、絵画や写真/映像表現を横断するインスレーション作品を、日本とオーストラリアを中心に制作、発表する。2010-2012年、両国の作家らと協働して《内在の風景》プロジェクトを実施、滞在制作や展示活動を展開する。2013-17年メルボルン大学ザ・センター・フォー・アイディアズ博士課程に在籍し、いかにして芸術作品は「翻訳不可能なもの」を体現し得るのかについて、研究/制作を行なう。2019-20年、文化庁新進芸術家海外研修制度一年研修員としてアメリカ合衆国ニューメキシコ州に滞在、現地を拠点に活躍した芸術家アグネス・マーティンの「抽象表現」を探る。

滞在制作のプラン:
米国サンタフェを拠点に実施した、アグネス・マーティンの芸術実践に関する研修活動を継続する形で国内で展開している制作と研究を、遊工房での3ヶ月間の活動を通して更に深化させ、ドローイングを中心とした作品にまとめ、終盤に展覧会《Forever Tide (仮題)》として発表する。

「言葉にならない静かな経験に興味がある」という彼女の一文が示すように、全米各地に訪ねたマーティンの作品は、観る者の心を静かな喜びに満たしながら、瞑想的な時空間へと誘うかのようだった。マーティンはどのようにしてこのような芸術を為し得たのか。微細な濃淡に揺れる空。波打つ山の稜線。生前のマーティンを知る芸術家らとの親交。現地での日々を通じて問い、感じ、得たものは、帰国後のコロナ禍での活動にも引き継がれ、例えば彼女が大切にした東洋の思想や美学、私の原点でもあるドローイングと改めて向き合うことを促している。いつも変わることなくそこにある、遊工房のスタジオをゆっくりと移ろう陽射しの中で、永遠の影の線を、一本一本丁寧に引きたいと思う。

遊工房での活動は、2010年のギャラリー・レジデンス、そしてスタッフとして運営に携わらせて頂いた2011-2013年以来となる。再び迎え入れてくださる遊工房に心から感謝申し上げる。

滞在期間 2020.12.03 - 2021.02.28
滞在場所 AIR2
作家HP http://www.utakoshindo.info