Youkobo Art Space: A Micro-Flexible Arts Community In Tokyo

ルイス・レコダ & サンドレ・ギブスン
ニューヨークからのAIR滞在アーティスト2005

アーティスト・イン・レジデンスとしての遊工房をユニークにしている要素は、その親近感わくこぢんまりとしたサイズにある。もう少し具体的に言うと、「遊工房アートスペース=マイクロ・レジデンシ」ということである。
私たちはよく遊工房でのやり取りの中で、この遊工房というレジデンシが他に類を見ないものであることについて語り、そして、それは広い柔軟性を兼ね備えた、規模のコンパクトさを持ち合わせていることに起因するという結論に達した。
つまり、柔軟性における「マクロ(極大)」を持ち合わせた、規模における「マイクロ(微小)」なのである。つまり、遊工房においては、ほとんどすべてのことが可能であると言えるのだ。アーティストは、遊工房を「アートスペース」として実験的な独自の方法による各々の空間に変貌させることができる。

それでは、遊工房アートスペースにおける「アートスペース」とは、一体何だろうか?
それは、絶え間なく変化する、スタジオ、ギャラリー、そしてレジデンシといったスペース全体の趣き(アンサンブル)、もしくは、連絡網(ネットワーク)である。
例えば、スタジオは時にギャラリーの別館としても使われる。また、あるいは、もしくは、レジデンスは簡単にスタジオスペースとして早替わりすることも可能である。
一つのスペースはまた別のスペースへと変化し、そしてまた別のスペースによって取って代わられる。

質問:何が遊工房の特筆すべき気質として考えられるだろうか? 回答:共同経営者である村田夫妻の先例のない協同チャレンジ精神。村田夫妻は遊工房に訪れるすべてのアーティストのニーズや要望を理解しているだけでなく、常日頃、遊工房が如何にしてより良いアーティスト・イン・レジデンスになり得るかということも自問している。 遊工房は、ある部分においては、アーティスト達の日常的な要望によっても、また進化を遂げている。そして、そういったことはアーティストたちに理想的なアートセンターの創造に積極的に参画するものとしての意識を芽生えさせている。
舵を取るたった二人の指揮者による小さな運営管理としての「マイクロ」。
簡素でありながらも、心に触れる、社会における大きさとしての「マイクロ」。
それが遊工房アートスペースだ。
(2005年)